Innokin SENSIS スターターキット レビュー|ACM(交流)を使用する新世代チップ搭載

Innokin SENSIS スターターキット レビュー|ACM(交流)を使用する新世代チップ搭載

Innokin SENSIS スターターキットのレビューです。

メーカーのキャッチコピーはThe Fourth-gen Vape Tech Inside(第4世代のVAPE技術搭載)”

パッと見は、DRAG XタイプのPod Modですね。
デザインと質感は抜群にいいなぁという感想を持ちましたが、最近よくあるタイプのデバイスだな、とも。

510スレッドアダプターが最初から同梱されており、それを使ってお好きなアトマイザーもセット出来るので、追加投資なしでそのままテクニカルModとしても使えます。
このあたりも最近は結構普通になってきています。

ならどこが第4世代なのかと言うと、その搭載チップにあります。

基盤メーカー「FOUREIER」社が開発した、ACM(交流)を使用するチップを搭載しており、
交流を使用することにより、コイル寿命、バッテリー効率、フレーバー再現度、出力制度が上昇しているとのこと。

交流というと、家庭のコンセントの電流のイメージで、バッテリーを使用する機器は通常直流を使用しています。
このデバイスももちろんバッテリー駆動なので、大元の電流は直流だと思うのですが、この小さなボディの中にインバーターの役割をする機能を搭載しているのかな、凄いな。

技術的な細かい点はさておき、使用してみて、単にVAPEデバイスとして見ても確かに上質だなと感じました。

この製品は、べプログショップさんにサンプル提供頂きました。
ありがとうございます。

電子たばこ(VAPE/ヴェポライザー)は20歳以上を対象とした嗜好品です。
未成年の方の使用はお控えくださいますようお願い致します。

第4世代のテクノロジー

まず、このチップで実装された新機能などについて主なものを記していきます。

直流と交流

まず直流と交流の違いについてサラッと

直流は、電気が導線を流れる中で向きや電流、電圧が変わらず、一方通行で流れます。
バッテリー製品は大抵この形で、バッテリーの+極から回路を通ってマイナス極までまっすぐ流れています。

それに対して交流は、電流、電圧と極性(+ーの向き)が周期的に変わりながら流れています。
家庭のコンセントはこのタイプで、プラグをどちらの向きで刺しても動作するのは両端子がそれぞれ両方の極性の役割をするからです。

1秒間に何回極性が変わるかを周波数(Hz)と言い、東日本(50Hz)と西日本(60Hz)で対応しない機器があるのは極性変化のタイミングが合わないからですね(最近は殆ど無いですが)

交流の周波数を調整できるモード

(メーカー公式より引用)

交流を使用し、周波数(Hz)を任意に調整することが出来るモードです。

コイルやリキッドに合わせて周波数を調整することで、特定のフレーバーを強化したり、熱伝達をスムーズにしたり、コイルの寿命を延ばしたりすることが出来ます。
また、交流電流はリキッドを徐々に加熱するため、焦げ付きを抑える効果もあります。

リフレッシュ

(メーカー公式より引用)

リフレッシュは、コイルを手動でリフレッシュする機能です。

実行すると設定ワット数の40%で動作し、コイル掃除を行いつつ新しいリキッドを浸透させます。
これにより、コイルの寿命を伸ばすことができます。

COIL+

上記のリフレッシュを自動で行いながら使用できるモードです。
アクティブにしておくと、パフの終了時に設定ワット数の40%の出力で0.4秒動作し、コイルをリセットして風味の維持をします。

パッケージ

パッケージにもデカデカと、”4TH GEN VAPE TECH”の文字。

裏面には正規品チェック用のスクラッシールが貼られています。

パッケージ内容

  • Sensis本体
  • 専用ガラスPod(本体装着済)
  • USB Type-Cケーブル
  • 510スレッドアダプター
  • 0.25Ωコイル(本体装着済)
  • 0.65Ωコイル
  • MTLドリップチップ&予備Oリング
  • ユーザーマニュアル
  • ワランティカード

ユーザーマニュアルは多言語で書かれておりますが、日本語の記述はありません。

510スレッドアダプターが付属しているので、最初からModとして使用することができます。

もう一つの付属品袋には、MTL用ドリップチップ、予備Oリング、予備コイルアダプターがセットになって入っていました。

外観

新機能云々を置いておいても、普通にデザインがいいんですよねこれ、素直にかっこいいと思いました。
Kroma-Rも良かったし、最近のINNOKINさんはイケてますよね。

単純な直線っぽい部分もよく見ると僅かに湾曲していたりして、一見直線基調の堅いデザインに見えつつ、全体から受ける雰囲気は曲線が産むグラマラスなプロポーションというなかなか凝ったデザイン。

金属部分の鈍く光る質感も渋くていい感じです。

背面にはレザー素材が貼られています。

サイズ感はこんな感じ。

DRAG Xと並べてみました。
ちょい太いくらいかな?

Pod装着部のすぐ下にエアフロー調整用のレバーが付いています。
ここを開閉することでドローの重さを調整できます。

前面パネル部分、初期状態では保護シールが貼られています。

ファイアボタンはステルスボタンとなっており、パネル自体を押し込む仕様になっています。
Kroma-Rなどと同じ仕組みですね。

下の方に、+/ーの調整ボタンとUSB Type-Cポートがついています。

Podの固定はマグネット式です。

付属の510スレッドアダプターを使用することで、汎用のアトマイザーを使用できます。
アダプターの径は25mmですが、上面はフラットになるのでアトマイザーの径に特に制限はありません。

Podカードリッジ

Podカードリッジはガラス製です。
メンソールやリモネンなどプラ系タンクにダメージを与えるリキッドも心配なく使用できる他、ガラスのほうがリキッドの風味を長期間守れるそうです。
リキッド残量のみやすさもメリットですね。

その代わりガラス製となると破損が心配になりますが、
湾曲した形状なのと、かなり分厚くてしっかりしたガラスなので頑丈そうではあります。

ドリップチップは510規格になっており、汎用品と交換して使用できます。

リキッドの補充は、底面のシリコンパーツをめくってここから行います。

コイルはOリングで固定されており、下からまっすぐ引き抜くと取り外せます。

コイルの下に付いているアダプターパーツは使い回すので、取り外してコイル部分だけ交換します。
最近は一体型のコイルが多いので、誤って捨ててしまいそうなのは心配。

タンク側、ここまでフレームがあるので、リキッドはだいぶ残った状態でもコイルの交換は出来そうです。

キットには0.25Ωと0.65Ωの2つのコイルが付属しています。

本体の最大出力40wなのに、結構低抵抗なコイルが付属するんだな…と思ったのですが、
それぞれのコイルの推奨抵抗値を見ると、0.25Ωが25〜35w、0.65Ωが9〜12wとかなり低めのワッテージが推奨されています。

また、コイルサイズの小ささも印象的でした、
小型Podの交換用コイルみたいな小ささ。

初期状態では0.25Ωのコイルが装着されています。
事故防止の為に絶縁用のシールが貼られているので、剥がしてから使用します。

詳細

メーカー公式

スペック

サイズ 本体のみ:93.5×39.51×30.0mm
Pod込み:120.35×39.51×30.0mm
素材 Zync alloy(亜鉛合金)
重量 155g(実測)
Pod コイル交換式ガラス製Pod(容量3ml)
対応コイル 0.25Ω/1.2Ω/0.5Ω/0.65Ω
バッテリー 内蔵3000mAh
スイッチ マニュアルパフ(ボタン式)
出力モード FØモード
Wattageモード (VWモード)
Voltageモード (VVモード)
COIL+モード(Wattage/Voltage)
出力ワッテージ 6~40w
出力電圧 1V〜7.5V
対応抵抗値 0.2Ω〜3.5Ω
充電 USB Type-C 5V/1.7A

重量は実測で155gでした。
3000mAhの内蔵バッテリー込みでこれなので、一般的な重量かなと。

操作方法

電源ON/OFF

ファイアボタン3クリックで電源ON/OFFを切り替えます。

出力変更

出力変更は簡易的にロックがかかっており、そのまま+/ーを押しても変わりません。

+かーを一定時間長押しすると出力表記が点滅するので、その後+/ーを押すと調節できます。

モード切替

電源ON中に+/ーボタンを両方同時に長押しするとメニューが表示されます。

モードがこの機種のメインモードとなります。
主な挙動としては一般的なVWモードですが、交流の周波数を変更することができ、ワッテージと周波数で好みの状態に調整することができます。

Powerを選択するとWATTAGE/VOLTAGEの選択があります。
一般的なVWモード、VVモードとなります。

COIL+モードは、自動でコイルリセット動作を行うモードです。
パフの後に設定値の40%の出力で0.4秒加熱し、コイルをリセットします。

こちらも、WATTAGEとVOLTAGEが選択できます。

REFRESHは、設定値の40%の出力でのコイルリセットを手動で実行する機能です。

1xは一定時間自動で稼働
EXTENDEDはファイアボタンを押している間のみ稼働

SETTINGSを選択すると、更に設定メニューが表示されます。

  • 画面表示の変更(簡易/詳細)
  • 画面の表示時間
  • カットオフの時間
  • デバイスID表示
  • パフカウンターリセット

吸ってみる

0.25Ωコイル

初期装着の0.25Ωのコイルで、SCREWBACCOを吸ってみました。

初回のリキッド補充時はコイルにリキッドが浸透するまで数分置いてから吸う必要があります。
私の場合は念の為10分以上は置いています。

出力は推奨に沿って30〜35wで、エアフローは全開。

エアフローは全開だと結構軽め、ですがこのコイルだと全開でちょうどよさそうです。
AFCレバーは意外と制度が高く、絞っていくと結構重く出来ます。
全閉だとほとんど吸えませんが、1mm〜2mm開きくらいすると普通にMTLできそう。

あんな小さなコイルでしかも低抵抗、こんな低いワッテージで、大丈夫なのかな?と心配しましたが、あれ、いいじゃないの。
味とミスト量は他機種をもっと上の出力を使っている時と遜色ない感じです。

ガッツリ爆煙、という感じではないですが、あのコイルの小ささからは意外に感じるくらいのパフォーマンスです。

FØモードを使ってみる

一番のメインであるFØモード。
初期状態は30Hzになっており、吸った感じ「ん?どう違うんだろう?」となっていました。

ですが周波数を変えてみると意外と口当たりが変わって面白いですね。

20Hz〜500Hzまでの間で調整が出来るのですが、
低い周波数で吸っていると、ちょっと乱暴な加熱になっているというか、リキッドが小刻みに爆ぜているような感じと言ったらいいのかな、
味自体は少し濃く感じます、特にバッコだとストロベリーの感じが強い。

周波数を高くすると、加熱が非常にスムースになります。
しゅわ〜〜って繊細に加熱されている感覚。
口当たりがマイルドになり、風味系のフレーバーをじっくりと感じられる。

自分は口当たりと風味重視なので、後者のほうが好み。

バッテリーのもち

交流でバッテリー効率も良いとあったので、そこも少し気にしてみました。

35wでしばらく吸っていたら、ちょうど100パフのところでタンクのリキッドがほぼ空になりました。
バッテリーは僅かにしか減っていません。

リキッド補充して更に100パフしたら、再度タンクが空に。
自分の吸い方(1パフ2〜3秒)で、35wで吸っているとちょうど100パフでタンクを吸い切るみたい。

この時点でバッテリー残量は半分でした。
(この写真はパフした直後だったので、少し置いたらもう少し増えていました)

3000mAhと元々容量が大きいということもありますが、かなりもってるかも?

私の普段の使用頻度は1日で100パフくらいなので、1〜2日は余裕で使えそう。

ここで充電しちゃったのですが、その後2回くらいリキッドを補充してもまだコイルは味落ちもなくまだまだ使えそうな感じです。

0.65Ωコイル

まだまだコイルも綺麗だし味落ちもなかったので若干名残惜しいのですが、0.65Ωも吸っておきたい、ということでコイル交換。

今回も、リキッドを入れてから10分程浸透時間を置きます。

0.65Ωという抵抗値ですが、推奨ワッテージを見る限り、こちらがMTL向きのコイルという位置づけなのかと思います。

個人的には、こちらのコイルのほうが好みでした。
AFCを絞ってMTL吸いするのもいいですが、半開くらいにしてMTLとDLの中間くらいの吸い方を吸うとこれがかなり美味い。
味の濃さもミストの広がりもどちらもそれなりにあって、高抵抗MTLで吸った時に舌で感じる味と、中低抵抗のDLで吸った時に口の中で感じる香りがどちらも味わえて、MTLとDLのいいとこ取りみたいな感覚。

元々の好みに合っていたというのもあるのかも知れませんが、かなり満足感は高いです。

低ワッテージだからか、FØモードの周波数による変化はこちらのほうがよりクッキリと感じますね。
周波数を低くすると燃焼の音からして違います、秒間20連打って感じ。
こちらも、150Hzくらいにすると滑らかになってより好みに近づきますね。

アトマイザーでFØモードは?

最後に、アトマイザーを装着してFØモードを試してみました。

元々この本体が最大40wなのは少し厳しいかな、と思ったのですが、
パルス加熱のおかげなのか、アトマイザー使用時も他のModよりもやや低めのワッテージで行けそうな感じではありました。
15wで吸っていたアトマイザーは12wくらいで吸えるかな。
出力差は確かに少し感じますが、味や風味の出方はそれくらいでいける。

FØモードでの周波数変更に関しては、Pod程は感じないまでもそれなりに変化は感じます。
ただ、300Hz以上とかの高周波数にすると、若干、ピーって感じの高周波の音が鳴る時がありました。
(Podでは鳴らなかったですが、手持ちのアトマ2つで確認)
200Hz以下で吸うのが快適でしたね。

まとめ

新技術のチップ搭載ということで、面白い一台だと思います。
実際、パフォーマンスは高いですね。

バッテリーやコイルの持ちがよいというのが特にメリットになるのかと思いますが、
交流の周波数で味わいが変わるのが一番面白かったです。

交流の恩恵を一番得られるのはやはり専用設計のPod+コイルかなーという感想ではありましたが、
アトマイザー使用でもないわけではなさそうだし、普通以上には使えるかなと。

あとデザイン、かなりいいですね。
男性好みのするデザインかな、とは思いますが、これは私は素直にカッコいいと思いました。
新機能云々を別として、このデザインと質感だけでも選択の余地がありそう。

ちょっと悩ましいのは価格ですかね。
Pod Modも各社から色々なグレードの物が多数出ているのでピンキリな状態ではあるのですが、8000円を越える価格は他よりも頭一つ出ている感じ。
最新機能搭載、ということである程度は仕方がないのかも知れませんが。

見た目も機能もよいので、それ以外はほぼほぼ不満に感じた点はないのですが、細かい点を上げると、
タンクがガラスなので破損がちょっと不安、これは味の向上というメリットとトレードオフなところはあります。
個人的にはバッテリー内蔵式よりも交換式が好きなんだけどなぁとも思いましたが、これは交流に変換する上でハードルがあるのかな?とも。

あと、コイルパーツがセパレート式という点も、昨今の一体型のコイルに慣れていると誤って捨ててしまいそうでちょっと不安ではあります。

逆に言うと気になるところはそれくらいって事ではありますね。

良いものである事は間違いないと思うので、
最新機能に興味がある方、デザインが刺さった方などで、価格に折り合いが合えば是非。