昨日、2019/9/12に、Vaperに取ってはちょっとセンセーショナルなニュースタイトルが並びました。
“米国 電子たばこの販売禁止へ“
“トランプ氏、味や香り付き電子たばこの販売禁止へ”
これを見て、かなり悲観的なコメントが散見されました。
VAPE吸えなくなるの?日本はどうなるの?等
ただこれ、結構な誤解がありまして、
日本で流れてくる日本語のニュースのタイトルだけを見ると、アメリカでは直ちにVAPEが禁止になるようなイメージがあるのですが、原文をちゃんと訳すとそこまでの話ではないんです。
もちろん危機感を感じる内容ではあるんですけどね。
以前から、VAPE関係って結構恣意的な報道をされがちでして、
特にちょっと前から、VAPE(電子タバコ)関連はちょっと嫌な報道が続いていましたよね、
アメリカで肺疾患が出たとか、死亡者も出たとか。
とにかく表面上の言葉だけを繋いで「VAPEは危ない!」的な内容。
で、また今回も、原文と見比べて「あー、また切り取って恣意的なタイトルになってるなー」と。
自分は対して影響力もないいちVaperですし、「業界に物申す」とか「世間に訴える」とかそんなキャラでもないですし、
あまりこういった「物知ってるぞ」的な文章を書くのも好きではないので、
今回も、原題との比較をTwitterで茶化して流すくらいのつもりだったのですが…。
昨日、自分のその半分ネタツイみたいなのも含め、他の識者さんたちの「原文の内容と報道の内容が全然違う」的なツイートが結構な勢いで拡散されていたのですが、
それでもやはり「禁止?どうしよう…」的な悲観的なツイートもよく流れてきて、なんだか凄くモヤモヤしてしまって…。
やはり報道のタイトルって、なぁ、うん。
そんなわけで、とにかくモヤモヤするんです、モヤモヤ。
なのでやっぱちょっと書きたい。
自分はVAPER側の立場なので完全中立に書ける自信はなく、あまり自分の見解や意見を述べるのも躊躇うので、ソースと翻訳メインでちょっと書いてみます。
仕事中に急に思い立ってなぐり書きしているので、色々なソースを拾ったりは出来ないですが、大元ソースの原文の内容を多少噛み砕くだけでも大分印象変わってくるかなと。
うちはGoogleからの流入も多いので、少しでも「ん?」と思う機会を増やせれば。
自分も英語は堪能ではないので、訳がおかしい部分もあるかもしれませんが。
あと、米国や日本の各報道に関しても色々と思うところはありますが、陰謀論的な話になるので今回こちらでは伏せます。
とにかく言いたかったこと
以下、文字ばかりで結構長くなるので先に言いたいことだけまとめると、
- 直ちにVAPEが禁止になるわけではありません
- ただ禁止ではなく「今後FDAの認可が必要になる」という事です
(但しハードルは高いですが) - 対象となるのは、非タバコ系のフレーバーのみです
- 肺疾患やそれによる死亡事故に関しては、地下で出回っている違法な製品が原因で、他国では同様の事件は起こっていません。
今回の問題のソース
大元のソースとなったと思われる、米国FDA(アメリカ食品医薬品局)の公式が出している記事
まずタイトル
トランプ政権は、青少年の電子タバコの蔓延を防ぐため、未認可の非タバコ風味フレーバーの電子タバコを市場から一掃する計画
“未認可の”、“非タバコ風味フレーバー”が対象になる、というのがわかります。
これだけでも「ん?」となりますよね。
全文訳すと長くなるので、意味を損なわない程度のブロック単位で抜粋しますね。
トランプ政権は、本日、
若者の電子タバコ使用の流行に対する取り組みの一環として、ミントやメンソールなどの非タバコ風味の電子タバコの販売前の承認要件の実施に関するコンプライアンスポリシーを今後数週間で確定させ、非認可の非タバコフレーバーの電子タバコを市場から排除する予定だと発表しました。FDAは、その計画の具体的な内容について近いうちに発表する予定です。
保健福祉省のアレックス・アザール長官曰く
「これらの製品は、若い世代のタバコやニコチン中毒への入り口になるので、私たちは黙って待っていません。」
本日の発表は、National Youth Tobacco Surveyによる速報値が、特に子供たちの目に止まりやすいタバコ以外のフレーバーの使用を通じて、
若者の電子タバコ使用が恐ろしいほど継続的に上昇しているためです。2019年の速報値では、高校生の4分の1以上が過去30日以内に電子タバコを使用しており、
若者の電子タバコユーザーの圧倒的多数が、人気のあるフルーツ、メンソールまたはミントのフレーバーを使用していることを示しています。
2016年8月8日に発効した規則に従い、すべての電子ニコチン送達システム(ENDS)製品は、2年以内にFDAに市販前タバコ製品の申請を提出する予定でした。
現在市場に出回っているENDS製品は認可を取得しておらず、政府の措置の対象となります。
FDAが今後数週間に発表すると予想するコンプライアンスポリシーは、今後、認可を取得していない非タバコ風味の電子タバコ製品に対応する施行ポリシーの概要を示します。
他にも色々書かれていますが、ホント長くなっちゃうので。
以下ざっくり意訳
FDAはこれまで販売や宣伝を自由にやらせてきた、このせいで若者も買いやすい環境になり、関心が高まった。
ENDSの未成年者への販売に対し、販売業者やSNSのインフルエンサーなどの違反に対し、これまでにも警告書や罰金などを課してきた。
直近では、JUUL Labs Inc.に対して、ラベリングや広告に関する警告書を出している。
とにかく、Kids、Childlen、Youthといった単語が頻発します。
名目上は、未成年者への蔓延を防ぐ目的。
アメリカではJUULが爆発的人気で、
あれはニコチン含有の製品ですがそこらじゅうで買いやすく、フルーツ、メンソール、ミントなどのフレーバーで若者でも吸いやすい。
この辺りは数年前から問題視されていたし、FDAによる規制は前から予定されていたんですよね。
それが早まった感じですかね。
この文章には、最近の肺疾患関係の内容は一切書かれていませんが、その辺りのセンセーショナルな報道が後押しにはなっているかもしれません。
この件に関する英国Vape業界の反応
今朝見かけたイギリスのニュースサイトの記事、
これもちょうど訳していたので載せておきます。
英国Vaping Industry Associationのスポークスマン、Dan Marchant氏曰く
大統領が事実について十分なアドバイスを受けていないのは残念、
この決定は誤解を招く情報に基づいており、喫煙者がより有害性の低い代替品に切り替える機会を奪うものです。
英国では、世界中の何百万人もの人々の禁煙を支援した消費者主導型産業の担い手である事を誇りに思っています。
引き続きコミュニティと協力して、Vapingに関する事実を広めてゆきます。イングランド公衆衛生サービスは、タバコよりも有害性が95%少なく、残りの700万人の喫煙者が禁煙するための最も効果的な方法であると知らせ続けています。
詳細が不明だが、米国の事件は違法なブラックマーケットのマリファナ(THC)製品が関係しているようです。
これらの製品は英国では違法なので、こちらでは同様の症例は報告されておらず、喫煙者が禁煙に使用するフレーバー付きのニコチンベースのVAPE製品との関連性はありません。
イングランド公衆衛生サービスは、米国と英国の状況を明確に区別しています。
英国では医薬品・医療製品規制庁によって市場が厳格に監督されています。
つまり、VaperやVapeに切り替えようとする喫煙者には、購入する製品が高水準で安全であると自信を持って言えます。
イングランド公衆衛生サービス(Public Health England)
医薬品・医療製品規制庁(Medicines and Healthcare products Regulatory Agency)
といった政府機関の名前が出てきたのが印象的。
EUはTPD規制などもあるし厳しそうだなーという印象でしたが、
逆にそうやってちゃんと管理してやってくれていた方が安心感ありますね。
この発言を見ていると、EU(少なくともUK)は冷静っぽいし、当面は問題無さそうに感じます。
先日から問題になっている肺疾患について
以下、伝聞や個人的見解を含みますし、確定ソースもまだないのであまり細かくは書きませんが、
ちょっと前から騒がれている、
“電子タバコで肺疾患患者が出た”
“ついに死亡者も出た”
というニュース。
上のUKの記事にもありますが、ブラックマーケットの違法なTHC製品が原因だというのが現在の主な見解のようです。
アメリカは大麻が合法な州もありまして、
THC含有のカートリッジが認可されている所もあるんですよね。
そのTHC自体が直接の原因というわけではなく、THCカートリッジを偽装して作ったものがヤミで流通しており、そういった粗悪な製品に含まれている成分が原因なんだとか。
MikeVapes氏も問題提起していましたが、
あれだけVAPEが流行っているアメリカで、
何百万人というユーザーが何年も使用していて、最近になって急に5人とかですしね。
しかもアメリカだけ。
この辺はいずれ正確なソースが出てくる(出してくれると信じてる)ので、この辺にしておきます。
今後どうなるの?日本は?
以下個人的見解を多分に含みます。
直ちに影響はないでしょうが、アメリカで規制が入るのは確実のようです。
ただ一方的な禁止ではなく、一旦市場をクリアにして、今後FDAが認可した製品のみを出したい、市場を管理したい、といった思惑が見えます。
じゃあ、FDA認可を取れば今までどおり売れるんだね!
となるわけですが、FDAの認可を取るためには多額の費用がかかるんですよね。
1フレーバー毎に億単位だとか。
そんなの出せるのは超大手くらいなので、小規模メーカーは今後統廃合が進むのかも知れません。
ちなみにJUULは、マルボロなどを出しているフィリップモリスのオーナー企業であるAltriaが買収したので、資金力は超潤沢。
規制後もFDA認可を取って生き残るんじゃないかな。
今ちょっと不透明なのは、”タバコ以外のフレーバー”というところと、既存のVAPEデバイス用のリキッドや香料に関する部分。
この規制って、JUULを代表とする充填済みPodをメインターゲットにしている感じがするんですよね。
原因として書かれているのも主にそこなので。
リキッド作成用の香料って、内容的には食品香料と同じだし、どういう形になるんでしょうね。
あと、タバコ味のフレーバーは除外となるというのもちょっと微妙な感じです。
タバコ味が入っていれば普通に売れるの?どれだけ入っていればいいの?
これに関しては、大手タバコメーカーがタバコ味のカートリッジを出しているからなんて噂もあったりしますが…。
日本の影響について、
日本もアメリカに追従するんじゃないか、と心配する意見も見かけますが、それはすぐにはないのでは、と思っています。
まず日本は、アメリカと違ってニコチン入りリキッドの流通は元々禁止されていますし、未成年者への販売も厳しいです。
しかもVAPEを規制しようとしたら、JTのプルームテックなども対象になるでしょうし、簡単にはできないのでは。
自分は、少なくとも当分は日本でのVAPE環境は変わらないのでは、という見方をしています。
但し、今の報道の仕方から、一般のイメージは更に悪化しそうでイヤですね。
あと、USリキッドが入手出来なくなるかもしれないのも影響といえば影響かもしれません。
VAPEのマスプロ製品の主なメーカーはほとんど中国なので、そちらは直接の影響を受けないかな、とも思うのですが、
アメリカはVAPE業界では最大のマーケットで、アメリカをメインターゲットとした製品も沢山リリースされているので、規制の内容によっては製品開発の規模も縮小する可能性があるなぁ、というのは懸念しています。
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